マカオ通信
マカオ通信 2017年11月号

「隠しキリシタン」の城下町・竹田

~ポルトガルの風吹いて460年~

「隠しキリシタン」の城下町・竹田
左:昭和28年頃に発見されたキリシタン洞窟礼拝堂 右上:キリシタンベル「サンチャゴの鐘」(国指定重要文化財)
 竹田キリシタン研究所長 後藤 篤美 さん

フランシスコ・ザビエルが豊後国主・大友宗麟に招かれた2年後の1553年、朽網(くたみ)地方(現・大分県竹田市久住町/直入町)にもキリスト教の種が蒔かれた。領主の朽網氏は自ら「ルカス」と名乗り、積極的に家臣、家族を入信させたため、信者が瞬く間に急増、朽網地方は日本八大布教地となった。ルカスの信仰心は極めて厚く、それは、主君・大友宗麟よりも先に豊後初の教会堂を自費で建築したことからも窺い知ることができる。こうして朽網は、イエズス会宣教師が豊後府内(現・大分市)と長崎を行き来するたびに必ず立ち寄る地となった。

城主直々にキリシタン隠し

一方、竹田の城下町においても若き岡城主のドン・パウロ志賀親次(ちかつぐ)によってキリスト教の花が開いた。親次は大友宗麟の孫に当たり、高山右近に対して〝西の右近〟と呼ばれるほど熱烈なキリシタンで、自らの腕に十字の刺青を入れていた。

竹田で最も信者が多かったのは親次の頃であり、当時の推計人口が4万5千人の時代に、宣教師の書簡には「竹田では7~8千人が洗礼を受け、なお、3万人が洗礼を待ち望んでいる」と記録されている。そうであれば、全領民の80~85%がキリシタンになりたかったということになり、その信者数は豊後国の中でも最も多かったとされている。

その志賀氏が1593年に竹田を去った後、新たに岡藩主となったのが中川氏である。初代藩主・中川秀成(ひでしげ)の父である清秀が高山右近と従妹にあたるため、秀成もキリスト教に極めて寛大であったことは、バテレン追放令が出された後にもかかわらず、イエズス会の要請に応じて領内に教会堂の建設を許可したことから推測できる。

今に残る「サンチャゴの鐘」

現在、竹田市には全国で竹田にしかないキリシタン遺物と遺跡が多く遺されている。ただし、それらは自然に遺ったものではなく、あくまでも故意に隠された結果である。

通常は16~17世紀のキリスト教信者を『隠れキリシタン』と呼ぶところを竹田では藩主自らがキリシタン隠しを行ったことから「隠しキリシタン」と呼ぶ。その最たるものが、1612年製のキリシタンベル「サンチャゴの鐘」であり、1617年には存在したと考えられる「キリシタン洞窟礼拝堂」である。これらは、藩主の能動的な〝キリシタン隠し〟がなければ絶対に遺し得なかったと考えられる。

現在の岡城は中川氏の時代に築かれたが、まだ禁教令が出ていなかったこともあいまって、築城の際にはイエズス会宣教師はもとより、南蛮人が技術やデザインの指導を行ったのではないかと思わせる景観が目立つ。このヨーロピアンテイスト溢れる岡城がなければ、瀧廉太郎が作曲した、岡城がモデルといわれる名曲「荒城の月」は世に出ていなかっただろう。

豊後にはイエズス会のみならず、他の修道会も多く入ってきた。しかし、竹田は一貫してイエズス会のみを保護してきた。特にポルトガル人のルイス・デ・アルメイダが果たした功績は外科手術をはじめとしてあまりにも大きく、竹田においても彼から洗礼を受けたキリシタンは相当な数にのぼると思われる。

研究・資料館がオープン

竹田市では、首藤勝次市長が推進する文化政策の一枝葉としてキリシタン文化を位置付けている。現在、その政策に基づき、NPO法人竹田キリシタン未来計画と協働で調査、研究、情報発信を行っており、2017年10月28日には城下町に念願の「キリシタン研究所・資料館」をオープンさせた。

竹田市と同NPOは、今後も継続して海外に眠る史料も含めた調査・研究を行っていく計画だが、ポルトガルの協力を得ることができればありがたい。また、キリシタン文化を基軸とした海外からの観光誘客のためにもマカオとの交流が始まることを願ってやまない。
 
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2016年 2017年 対前年比
伸び率(%)
宿泊旅行
者率(%)
1月25,81725,777-0.258.2
2月20,89727,05829.557.1
3月27,81433,15819.255.1
4月19,23620,2400.561.3
5月24,96530,00020.260.2
6月19,97322,66213.563.9
7月20,70321,3323.059.4
8月27,60629,8578.256.1
9月27,77130,76310.854.9
10月22,215   
11月34,142   
12月29,474   
合計300,613240,84710.8 
12月~2月の天気概要
12月の最高気温の平均は20˚C 近くと日本の春を思わせる陽気で街歩きには最適です。ただし、朝夕は半袖では肌寒い日もあるので、一枚羽織るものを持参しましょう。

1月から2月のマカオは冬本番の日本とは異なり、10˚C を下回る日は数えるほど。とはいえ、大陸からの寒波で朝晩冷え込むこともあるので手袋やマフラー 、薄手のコート、使い捨てカイロがあると安心です。
夕焼けウォッチングの日没時刻もお忘れなく
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